季節のおすすめ
サンダルウッドは そんなに善良である必要があるのか。

サンダルウッドは本来 もっと暗くていい。清潔で軽いだけのサンダルウッドに物足りなさを感じる人へ。SANTAL OBSCUR-サンタルオブスキュールという 少し影のある木の話。
最近のサンダルウッドは どうも“いい人”だ。
やさしく 清潔で 少し甘くて
誰からも嫌われない。
それはそれでいい。
だが 私には少し退屈である。
木というものは 本来もっと湿っていて
もっと沈黙していて
もっと体温に近い存在ではなかったか。
ミルクのように薄められたサンダルウッドなど
それはもう木ではなく
木のイメージである。
木には 影がある。
THENOTEBARの香水
SANTAL OBSCUR-サンタルオブスキュールは
サンダルウッドを香料の34%も入れている。
正気の沙汰ではない。
だが 香りというのは
ときに正気を外したところから始まる。
アンバーが体温の輪郭を描き
ジンやコニャックが揮発の縁を削る。
そしてわずかなレザーの苦みと
ごく微かな動物的な湿度。
ほんの少しきれいではない部分を残す。
それがなければ 色気は生まれない。
完璧な木は ただのインテリアである。色気というものは
常にわずかな危険を含む。
清潔すぎる香りは 記憶に残らない。

現代は清潔好きである。
消毒された空間
無臭の衣服
整えられた感情。
しかし 記憶に残るのはいつだって
少し湿度のある瞬間だ。
夜のバーのカウンター
雨上がりのアスファルト
近づいたときにだけ感じる体温。
SANTAL OBSCUR-サンタルオブスキュールは
そういう温度を選んだ。
サンダルウッドは もっと暗くていい

香りは自己紹介ではない。
名刺のように整っている必要はない。
むしろ
「なんだろう」と思わせる隙がある方がいい。
サンダルウッドを善良にしすぎないこと。
甘やかしすぎないこと。
木は 黙っていればいい。
あとは 肌が語る。